冬の春


正月休みに入り、私は実家にも帰らずのんびりとマンションで過ごした。

山奥の田舎町が嫌いで東京のど真ん中に暮らし始めたのに、帰郷なんかしたくないからだ。


私の住むこの部屋は、お洒落な人気エリアに近い。

だから、ショッピングやお茶を一人でしていても、街の雑踏に入れば寂しさも紛れる。

カッコイイ男たちに熱い視線を送られたり、すれ違いざまに「いい女」なんて聞こえてくるのは日常茶飯事。

でも、ナンパに付いていったりはしない。

そんな安い女にはなりたくないから。




大晦日と元旦は友人とわいわい盛り上がって楽しんだけれど、三日も過ぎると暇で退屈になってきた。

相変わらず征司からのメール攻撃は止まらない。

けれど、私の家に現れることはなかった。

多分、旅行に行っているのだろう。

私と行く予定だったハワイ旅行へ。

で、たぶん他の女と。

征司はそういう男だ、と今は思う。

でも、旅行は勿体なかったなぁ……

いやいや、未練たらしいのはダメだぞ!

と自分を叱咤する。




朝から家でゴロゴロしていると、テレビから海の風景が目に飛び込んできた。

私はふと、あの寂れた海とパン屋に行ってみたくなった。