「やっとやみましたね。雨。」
「そうだね。やっとやんだね。」
「雨って、なんで降ってるか知ってますか?」
「簡単に言うと、
 雲の中でできた氷晶が重くなって落ちてくる
 過程で溶けたのが雨だよ。」
「ふふ。そういうことじゃないですよ。
 雨は、雷様が泣いているから降ってくるんです。」
「雷様…」
「実はお天道様と雷様は結婚しているのです。
 お天道様はいつも私達を照らす事を頑張って
 います。
 だからたまに友達の風さんと協力して雲を
 流して『もう頑張らなくていいよ』と言って
 あげてます。」
「それでもお天道様は『自分なんてまだまだだ   
 よ』って言いながら私達を照らしてくれてい
 るんです。
 そうやって中々休まないお天道様を哀れに思
 った雷様が流す涙が雨なんですよ。」
「今君が考えたね?」
「ふふ。バレちゃいましたか。
 でもそう考えると私の嫌いな雨も、
 こんなに優しいものだったんだ。
 って好きになれる気がしたんですよ。」
「好きにはなれたかい?
 僕は好きだけどね、雨。」
「いいえ。どの歳になってもやっぱり嫌いなも
 のは嫌いですね。
 外にお出かけして土の乾く匂いをかげないの
 は悲しいですよ。」
「その土を湿らせてるのは雨だよ。」
「あら本当だ。少し好きになったかもしれませ
 ん。」
「良かった。君も少し頑張りすぎじゃないか
 い。
 少し休んだらどうだ?」
「そうですね。お日様も見れた事だし、
 最近はあなたが雲をかけていてくれたから
 そろそろ休みますね。」
「ああ。」
また僕が雨を降らすのを見る前に。