「それはそれは本当に良かったですね」
「いい人と、巡り合えたと思っています」
「い、いぃ人?!」
海鳳の言葉に思わず顎が外れそうになった。
「はい、彼女はとても実直で嘘がなくって信用が出来る女性です。
俺は、前にいった通りずっと好きな女性がいて、その人以外と幸せになれるとは思ってなかったんです。
だから女性とお付き合いしても、いっつも私の事好きじゃないでしょって言わせて病ませてしまって…それがいつも心苦しかったんです。
でも妻はさっぱりとしていて、ざっくらばらんと言うか… 一緒に居てとても楽しくて、落ち着きます。 いつも一生懸命で頑張り屋さんで見ているこちらが気持ちいいです」
涙が出そうになった。 海鳳が心からそんな事を想ってくれていたなんて。
「今までは願いが叶うのが幸せの形だと思っていたけれど、なんて事なく普通に笑える日々が幸せなのかなって。 幸せの形が変わっていくのを感じています。
そこに愛はなくても、良いパートナーに出会う事が出来た気がするんです」
’そこに愛はなくても’というワードが私の胸を激しく突き刺していく。
思わず沈んだ気持ちになってしまう。



