迷いの森の仮面夫婦


「実は、報告というかなんというか…。
自分、結婚しまして」

「ごふっ!」

突然の報告にこっちの方が思わず蒸せると、海鳳は驚き椅子から立ち上がった。

「本当に、大丈夫ですか?!」

「ええ…ええ、本当に大丈夫ですので、早乙女さんお掛けになって下さい。
ご、ご、ご結婚なされたんですね、それはおめでとうございます…」

うわーん!助けて欲しい!
もしかしてこれって離婚フラグ?!
妻の私の愚痴を吐きにきたとか?!

本人を前に本音を聞いちゃったらそれこそ立ち直れなさそう…。

「ありがとうございます。 まさか、あれほど先生に相談していた自分が結婚するとは夢にも思わなかったです。
先生がラスベガスで自分の人生を変える出会いがあるって言ったじゃないですか……。
現在の妻とはラスベガスの旅行先で偶然出会って、帰ってきてから同じ病院にとつめるスタッフだと分かって
ああ、何かこれじゃあ占いにきたというよりただの報告みたいになってしまいましたね」

お酒が入っているせいか、思いの外海鳳のテンションが高い。 まるで幸せな結婚を報告しにきたみたいだ。