何となく、もうアイリーンの所にはもう来ない気がしたのに…甘かった。
顔をどれだけ隠しても、声でバレしまうんじゃ…、と私の不安とは他所に時間はあっという間に過ぎ去って、二十二時十分前彼はやって来たのだ。
「お久しぶりですね、先生」
「う……ゴホッ、ゴホッ…。本当に久しぶりですね、早乙女さん」
出来るだけ低い声を出そうと奮闘していると、海鳳は目を丸くしてジッとこちらを見つめた。
ば、バレた?!
「風邪ですか?」
「ええ、ゴホッ、まあ…最近喉の調子が悪くって」
「季節の変わり目ですからね、気を付けて下さい。出来るだけ暖かい恰好をして、水分を沢山取ってください」
「あ、ありがとうございます。」
少しだけアルコールが回っていて顔が赤かったが、医者らしい言葉を投げかける海鳳から目を逸らしタロットカードに目を落とす。
次に海鳳は驚くべき発言をした。



