『アンタの旦那からアイリーン先生指名で二十二時から予約が入ったんだけど、どーすんの?!』
といった内容だった。
血の気がサーっとひいていくようだった。
今日、海鳳は夜高塚先生と飲んでくると言っていた。 その帰りにでも寄るつもりで予約を取ったのだろうか。
海鳳と付き合いだして結婚をしてばたばたもしていたし、時間の許す限り彼は私と一緒に居てくれようとした。
その間、占いの館に訪れる事はなかった。 結婚を機に、もしかしてもう彼は来ないかもしれない。そんな期待は儚く砕け散ってしまったのだ。
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「絶対に絶対にバレちゃうと思うよぉ?!」
「これを機に旦那さんには占いは引退するって言っちゃったら?
まさかの結婚までこぎつけるとは驚きだったけれどね」
愛莉はいつもより念入りに私へとメイクを施していた。
青色のアイシャドウをこれでもかっていうほど塗ったくり、外国人か!ってつっこみたくなる程鼻にノーズシャドーまでいれる。
金髪のかつらと目下を覆うベールをつけているとはいえ、私と海鳳は現在一緒に生活しているのだ。 バレたっておかしくはない。



