迷いの森の仮面夫婦


「そう言って貰えてありがたい。
それに高塚先生は良い奥さん貰ったなあって言ってくれるんだ。
雪穂はいつも一生懸命で、優しくって患者さんにも評判の介護士さんなんだって」

「高塚先生ったら、照れちゃうなあ…。 でも私も高塚先生に結婚の報告をした時すごく喜んでくれたんだよ。
今時早乙女先生みたいな真面目な医師はいないからって。忙しい人だとは思うけど、支えてあげてねって。
よぉーし!やっぱり私、料理教室に入っちゃお!頑張ってる海鳳支えたいもんね!」

突然気合いを入れ直したら、海鳳はアハハと声を出して笑う。

「俺も雪穂の為に頑張らなくっちゃな」

「もぉ~っ…海鳳はそのまんまで十分だよっ。
料理だって洗濯だってお掃除だって何でも出来ちゃうからさあ~
生まれつき私とは違って器用なんだよなあ~。これ以上何でも出来る人になっちゃ、奥さんとしての私の立場がありません!」