「っ……んぅ…」
「雪穂…声を我慢しなくってもいいんだよ…」
夜を迎え、寝室のベッドの中に入るとほぼ毎日海鳳は私を抱く。
初めては痛かったけれど、身体を重ねていくうちに甘い快楽へと変わっていった。
海鳳の指先が妖しく身体をなぞると、びくりと痙攣して思わず甘い声が漏れてしまいそうになる。
それでも自分の口を塞いで、彼に背中を向ける。 セックスをする時は互いに向き合ってしない。 はじめは不思議がっていた海鳳だけど、私がそういうのが好きだというと納得してくれた。
本当は向き合って、彼の視線を一心に浴びて鼓動を合わせたい。 もっと彼を感じていたいのに、ムードを壊してしまうのを恐れていた。
所詮私は桜子さんの身代わり。 私自身に欲情して、本当の私自身を抱いて欲しい。 そんな我儘なんて言えない。
けれど抱き合った後、海鳳は必ず私に腕枕をしてくれて頭を撫でてくれる。
海鳳の厚い胸板の中にするりと入っていくのが、大好きだった。



