私の腕をぎゅっと握る凪咲さんを安心させるようにこくりと頷き笑顔を作る。
凪咲さんと海鳳は二卵性の双子の姉弟だ。
今ではちっとも似ていないと言われるらしいが、海鳳の身長が伸び始めるまではよく似ていたらしい。

私からして見れば、二人は今でもよく似ている。

どちらかといえばボーイッシュなタイプの凪咲さんの茶色の髪と、ビターチョコレートのような透明感のある瞳なんかそっくりだ。

ご両親曰く、性格は正反対らしい。
凪咲さんは昔から快活で積極的なタイプだったらしいが、海鳳はそんな姉の後ろに隠れてしまうような引っ込み思案な子供だったという。

しかし彼自身もご両親も双子の姉でさえもお医者さんの優秀な家系だ。
それでも早乙女一家は、サラリーマンで一般家庭に育った私を快く受け入れてくれた。
私自身も幕原病院で働くただの介護福祉士だ。 とりわけ、優秀なわけでもない。

くわえて、容姿が特別整っているわけでもなかった。 海鳳一家が美形一族ならば、私は両親も自分自身も普通過ぎるほど普通。

目はぱっちりとした二重だけど、鼻は特別高くもない。 愛嬌はあると言われるが、丸顔のどこにでもいるような顔だ。

ひとつだけ良い所を挙げるとすれば、一度も染めたりパーマをあてた事のない髪は黒く胸下まであって、周りに綺麗だと言われる唯一の自慢だ。