どこにいても困った人を放っておけないのはこの人本来の性分なのかもしれない。
そして海鳳はここでも私を、成瀬 雪穂だとは気が付いていなかった。 院内では挨拶をする程度、私の顔と名前は認識されていない気もしていたが
確かに病院内ではいつもすっぴんで髪もくくっている。 占い師アイリーンとしても何度か会っているのに全く気が付く様子はない。
それ程、海鳳の眼中に私は入っていない事実が少し悲しい。
それでもストーカー紛いな事をして会いに来たラスベガスでこうやって会えた。
道すがら女一人でラスベガス旅行に来て、英語もほぼ喋れず外国人に話を掛けられてニコニコ笑っていたら連れ去られそうになったと説明すると、さすがの海鳳も呆れ返っていた。
この位の膝の手当ならば、ホテルで応急処置が出来る、との事で私は海鳳の泊っているホテルに案内された。
私とは違い、海鳳はラスベガスの有名ホテルベラージオのスイートルームを取っていた。 ラスベガスでもトップクラスで有名なホテルだという事は、いくら外国に無知な私でも知っていた。



