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季節は七月。
なんとラスベガスの夏は七月が一番暑いらしい。
昼間なんて歩けたものではない。
しかし湿度が低いせいか日本のじんわりとした嫌な夏の暑さとは少しだけ違うように感じた。
ちなみに十時間のフライトで飛行機が落ちるかもしれない、という不安は他所に結局九時間も寝てしまった自分の神経の太さには笑えた。
降り立った異国の地、日本にいる時より少しだけ大胆になろうと決めて洋服やコスメも奮発して揃えてきた。
リゾート用のキャミソールワンピースには真っ赤な物を選び、いつもは絶対に履かないヒールの高い靴を履く。
仕事中はお団子でまとめている黒髪を流して、普段はつけない真っ赤なリップと付け睫毛をつけて、メイクもいつもよりずっと濃くしてみた。
とはいえ、貧乏旅行。
出来るだけ安いホテルを使い、倹約するつもりだったがラスベガスは元々ホテルが他の街より安いらしい。
どこに行ってもあるカジノ。空港にまでカジノがあったのには驚いた。カジノで儲けるので宿代は安く済むという仕組みらしい。 とはいえ、有名な豪華ホテルには当たり前だが泊まれない。
特に綺麗ではなかったけれど、それなりのホテルを取る事が出来た。



