なんちゃって占い師の戯言だ。 さっきの愛莉の言葉を借りただけ。
本来占いにやって来る人間の大半は悩みがあるらしい。
占いは幸せになるために使うもの。 そして自分自身を信じる為のツールの一つだ。
そんな適当なペテン占い師の言葉に、海鳳は何度も頷いて私の話に聞き入っていた。
そして驚く事に彼は私が訊くまでもなく、自分の話をし始めた。 お酒が入っていたせいもあるとは思う。
それに自分を何も知らない他人だからこそ、曝け出せる事もある。
「アイリーン先生の言う通りなんです…。
はぁ~~……ここの占いの館も病院の看護師が良く当たるって騒いでいて、偶然新宿で飲んでいた所だから寄ってはみたんだけど…
俺、本当に駄目なんですよね…。
本当はあの人の眼中に自分がないって分かってるのに、ずっとずっと好きで好きで忘れられなくって……
他の女性と付き合ってみても、好きになれそうだって一瞬は思うのにふと我に返ったらどうしても駄目で
彼女は幼馴染で昔からずっと一緒に居て、もう結婚もしてるのにどうしても諦められなくって」



