「もう、じゃあ私を頼らないでよ?占いなんて信じてないんでしょう?」

「占いは信じていないよ。 友人としてアドバイスして欲しいから会いに来てるんじゃんか~~。
愛莉いつも忙しそうだし、暇なのここで占いしてる時位でしょう? だって全然お客さんなんて来ないしね」

愛莉は新宿で週に一回、占いスペースを借りて占い師としての仕事をしている。 アイリーン先生というふざけた名前を用いて、ニ十分三千円はぼったくり価格だと思う。

普段は丸の内OLをしていて、私とは中学時代からの友人である。  占い師は人気商売らしく、まだまだその道一本では到底食べてはいけない。

それは閑古鳥が鳴いているこのお店を見れば分かる事。 大体数秘術だとかタロットだとか、リアリティーのない占いを私は信じていない。
それでもハマる人は、ハマるらしい。 

事実愛莉のお店にはお客さんはさっぱりだけど、曜日によって人気の占い師さんは予約半年先待ちの先生もいるらしい。

「占いでは、相性は良い方なんだけどね、早乙女さんだっけ?」

「だから私は占いなんて信じてないんだってば!生まれや名前なんかで人の運命が分かってたまるかってもんよ」