迷いの森の仮面夫婦


何度抱き合っても、愛していると感じるの。
その日も朝まで抱き合って、そのまま眠ってしまって気が付くと白みがかった空が窓から見えた。

ラスベガスの夜明け――
眠らない街の明かりが消えていって、太陽が少しずつ上がって行く。
隣で眠っていた海鳳の「うーん…」という唸り声が聞こえて、片方の手で私を引き寄せた。

「海鳳、見て。 すごく綺麗…」

「ん~~……本当だなあ…すげぇや」

まだ眠気眼だった彼は、目を擦りながら私の頬へとキスを落とした。
どちらともなく手を繋ぎ、異国の朝焼けを見つめていた。

「ねぇ、雪穂」

「ん?」

「ずっといつ言おうかなって迷ってたんだけど、折角の新婚旅行だから今日言う事にするよ」

「え~?何~?ちょっと怖ぁい…」

「この結婚に二つの約束事を決めたい」