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その日は午後から訪問介護の患者さんの家に行く予定で、午前中に管理栄養士なども交え食事療法のミーティングを予定していた日だった。
環境整備を終わらせて、ミーティングルームに向かうとまだ室内には誰も来ていなかった。
ミーティングルームとは言っても、小さな会議室のようなものである。 もっと大掛かりなカンファレンスを行う時はプロジェクター等も完備された大部屋を利用する。
少しだけ空気の入れ替えをしようと窓枠に手を伸ばした時、静かにミーティングルームの扉が開けられる音が響いた。
それはいつかどこかで見た事のある光景だった。
開け広げられた窓からは初夏の爽やかな風と共に、太陽の光が射し込んでくる。
光が余りにも眩くて一瞬目が眩む。 でもこれは太陽の光ではない。 いつかどこかで見た、誰かから放たれる言葉には出来ないその人となりのオーラに近い。



