「よく、見て」

「だから、前に占ってって言った時と同じカードだよね?
はぁー…いくら占いに疎い私でも覚えているよ」

「実はね、あの時は月のカードは正位置を示していたの。でも今日は逆位置」

確かに目の前のカードは逆方向を向いていた。

「それが、何…?」

「同じカードでも正位置と逆位置の場合、全然意味が違ってきたりするからね。
月の逆位置のカードは、不安や誤解からの解消…過去からの脱却や好転し始める。
問題に光が差して、未来に希望が見えるって」

「やっぱり…タロットって変。
同じカードなのに意味が違うなんて…さ
それに信じないよ。今どんないい結果が出たってもう全部どうしようもないんだから…」

「どうしようもないかは、もう少し頑張ってみてから決めたら?」

そう言った愛莉は、タロットカードをしまい、テーブルの上にいつも変装用に使っていた金髪のウィッグと顔を覆うベールを置いた。

「は?」