迷いの森の仮面夫婦


「それで、早乙女先生って!」

「早乙女先生はね、一言で言えば女好きなの。」
くすくすと笑いながら、看護師達は楽しそうに噂話に花を咲かせる。

ぼんやりと、もしかしたら海鳳かもしれないと思ったけれど、違うかもしれない。
私の中の海鳳は、あのお城の中で太陽の光に燦燦と照らされる王子様だったのだから。

「悪い意味じゃなくって、女の人なしでは生きていけない人なのよ。
誰にでも優しくって、勘違いされがちだし
綺麗な女の人だったらすぐに付き合っちゃうの」

「……悪い意味じゃなきゃ何なんですか……。  それってある意味最低ですよね。男性としてどうなんですか……」

「やだー、成瀬ちゃんって案外真面目な所あるのねぇ。 そこがまた魅力の一つっていうかね。
とにかく女性をとっかえひっかえしているような人なんだけど、見事に付き合う女性が皆美人だったり可愛かったりするの!
モデルさんとかね、芸能人なんてのも過去にいたのっ。  病院内でも手の出された子がいて、必ずその子達は早乙女先生に執着して修羅場になってしまうの!
とにかくすっごくモテるのよっ。医者だし、特にね」