海鳳の目をじーっと見つめていたら「恥ずかしいから」と言って、彼は顔を片手で覆った。
彼の頬と鼻先が赤くなっていた。 薄い唇からは白い息が漏れる。
私は自分のしていたマフラーを外し、そっと彼の首元に掛ける。
「はいっ!」
「雪穂が寒いだろう?
それにこういう事は普通男がするべきだ」
「大丈夫、私は北海道生まれだから寒いのは平気。」
彼の首元にマフラーを回してにこりと微笑むと、優しい瞳をこちらに瞬かせる。
「ねーっ、ねーっ、クリスマスはさ新宿にあるル、ポルテのケーキを注文しようよっ。
有名パティシェの飯塚春道さんがクリスマス限定で出すんだって
海鳳苺のショートケーキが好きでしょう?」
「いいね。でも俺雪穂が作ってくれた手作りケーキも好きだけど!」
「あ~!また馬鹿にしてるでしょう~?あのケーキ全然膨らまなくって大失敗だったもの!
ぺっちゃんこでさー、アハハ。今思い出しても笑える」
「ねーハハハ、でも本当に美味しかったんだ。
でもぺっちゃんこのケーキ実は笑えたけど嬉しかった」



