嘘をついても愛されなくてもあなたと一緒に居たいと望んだ。 でも本当はそれさえも嘘だ。
本当は一番に愛されたい。 私だけを見つめて欲しい。 私以外の誰も想っては欲しくない。
二人でした約束の一つを最初から破っていたんだ。 あなたを愛している―もうこれ以上愛してしまったら、底のない水の中を藻掻いているように苦しくて、息が出来ない。
あなたを、もうこれ以上愛せない。
「すっかり、もう街もイルミネーションで冬支度だ」
「本当だー!海鳳、見て見て。 もうツリーだよ。気が早いよね」
十一月終わり、赤や黄色に紅葉した葉っぱは静かに落ちていって、その代わりに街中はイルミネーションで華やかに彩られた。
吐く息も白く変わり、コートの隙間から寒さがぐっと身に染みる冬。
珍しく海鳳と仕事が終わる時間が重なって、華やかに染まる街中を一緒に歩いた。
何があるわけでもない、こんないつもの日常がこんなにも幸せに感じるなんて



