「そんな事ないよ。 雪穂ちゃんみたいな可愛い子に海鳳は勿体ないんだから。
でも二人が幸せそうで、良かった。
私何となく海鳳は一生結婚しないんじゃないかって思ってたから
結婚予定が全くない私に心配なんてされたくないだろうけど…」

「凪咲さん、海鳳が結婚しないんじゃないかって思った理由は、桜子さんですか?」

自分で言っておいて、フォークを持っていた指先が震える。
桜子さんの名前を出すと、凪咲さんは目を丸くして動きをぴたりと止めた。

曖昧な笑顔の裏に隠された動揺を、どうしても見逃せなかった。  自分が傷つく事、分かっていて答えを待った。

本当に傷つくのは怖いから、決して海鳳には聞けない答えだ。