「嬉しい…。何よりも海鳳の気持ちが嬉しかったよ。私の為にこんなに沢山考えてくれたんだって…
ありがとう、本当にありがとうね。
こんな最高の誕生日、初めてだよ……」

優しくて思いやりのある人。  一緒に暮らせば暮らすほど、好きな気持ちは愛していると確信になり離せなくなる。

ぎゅっと海鳳が私の体を抱きしめると、最後のプレゼントと言って一枚の封筒を取り出した。
顔を真っ赤にして考え込んだかと思ったら、それは「手紙」だと彼は言った。

「手紙なんて書くの生まれて初めてだから、絶対に俺がいない時に読んで」

「今読みたいのに~…ええ~手紙とかまた嬉しい…。涙止まらないよぉ」

「絶対に絶対に俺がいない所で読んで。 そうしなかったら俺が恥ずかしくって死ぬ」

念を押され、彼が書いてくれた手紙を大切にしまう。
私は海鳳と結婚出来ただけで十分幸せで、それ以上を望んではいけないと思っていた。

そもそも出会いから全て嘘で、嘘で塗り固められた自分でも海鳳の側にいたいと願った。
だからこんなに仲良く時間を過ごしたり、海鳳に優しくされればされる程、胸が苦しくなっていく。
本当の自分で海鳳に向き合っていない。その事実が、日に日に自分を追い詰めていく。