四月、都内にある幕原中央総合病院に介護福祉士としての就職が決まった。
経営理念として、医療により生活困窮者を救済しようと地域に密着した病院であり、NPO団体と連携して生活困窮者の為の無料クリニックも開いているような病院で、医師や看護師の他にも私達のような介護福祉士、訪問薬剤師、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーなどがチームの一つになり、様々な医療体制を整えている病院だった。
幕原病院は基本的に医師は白衣を着ない。皆スクラブを着ている。しかしそれは職種により色分けされていた。
ドクターはダークネイビーで、私達のような介護補助者はピンクといった感じである。
介護福祉士としての仕事は好きだった。 大変な仕事だし、肉体労働でもあるけれど、人から貰う「ありがとう」の言葉は嬉しいし、何よりも沢山の人との出会いの中でやり甲斐さえも感じていた。
同じ医療の世界にいれば、どこかで何かの形で再び海鳳と繋がりを持てる機会があるかもしれない。
運命的な何かを信じている私だったけれど、まさかこの幕原病院で再び海鳳に出会えるとは夢にも思っていなかった。
幕原病院に勤務を始めて二ヵ月。 やっと仕事にも慣れて来た頃。
朝の申し送りでナースステーションに訪れた時、看護師の何人かが固まって黄色い声を上げていた。



