私も自分は変わり者だと思う。
普通に友人も多くて、男友達も何人かいた。
周りが素敵だっていう学校の先輩も、アイドル並みに人気だった同級生にも
一度も憧れたり、ときめいたりした事はない。 一度仲の良かった他校の男子高生に告白されて、愛莉に取り合えず付き合っちゃえば?と言われたけれどどうしたって好きになれない未来しか見えないのだ。
’もう一度、海鳳君に会いたい’
ネットで調べれば現在の早乙女クリニックの情報は出てくるだろう。 実際調べて見た事はあった。
そこまでしてまるでストーカーみたいだと自分で苦笑してしまう。
突然会いに行ってしまえば、不審者として通報されてしまうかもしれない。
二十年前に一度だけ会った女の事なんて、彼の記憶の中に今も存在するとは思えない。
そうやってもやもやした気持ちの中で始まった東京での新生活。 それはほんの偶然から始まった、私にはとっては運命としか思えない出来事の始まりだった。



