「これは私が海鳳のピアノが聴きたいって理由もあるんだけどねっ」

「こんなに沢山………すっごいお金使っちゃっただろう?  これじゃあ俺が雪穂の好きな物買ってあげてるんじゃなくって、俺ばっかりしてもらっているみたいじゃないか…」

「いいんだよ。  夏にはボーナスも入るし、海鳳へのプレゼントなのに海鳳のカードで切ったんじゃあ意味ないからね。
それにこれは三十四年分のプレゼントっ!
だから、来年は……ここまではしてあげられないけれど、私海鳳の喜ぶ顔が見たかったの!」

「雪穂……」

顔をくしゃくしゃにさせた海鳳は困ったように笑い、ゆっくりと私を抱きかかえた。
首元に両手を回すと、彼の方から口づけをした。 ふわりと海鳳の香りが鼻を掠めていく。

遠慮がちに笑う時も、顔をくしゃくしゃにする時もどんな瞬間も、好き。  再び私を抱きかかえた海鳳が、ゆっくりとベッドへとおろしていく。

「来月は雪穂の誕生日だ。  今度は俺が、雪穂の欲しい物なんでも買ってあげる」

「じゃあ、すっごい我儘言っちゃおっと」

「いいよ。何でも雪穂の願い事叶えてあげる。  本当にありがとう。
勿論貰った物全部嬉しかったんだけど、雪穂の気持ちが一番嬉しかったんだ」