しばらく時間は掛かったが結局、二人にまつわる大げさな噂は下火になり、新しいトピックに話題が移っていった。

その新しい話題とは、アルバートとジェームズのどちらがよりかっこいいかを決めると言うものだ。

けれどもアルバートは最終学年で、六月には卒業して学校からいなくなってしまうため、 ジェームズが学内のイケメン・リストのトップに立った。

ニーナはいつも、クラスメートたちがどうやってジェームズとイチャイチャすれば良いかについて話すのを聞いていたし、 情報科学科の女の子がいつもジェームズを追いかけているという話も一度耳にしていた。

もちろんニーナはその話題の女の子がミシェルであると知っていたが、まさか彼女がそんなにしつこいとは思っていなかった。

だからミシェルがこのことで泣いてしまったのも驚くには当たらないのだ。 実際、彼女はニーナの目の前で泣き崩れるともはや手に負えなかった。ミシェルが泣きながらジェームズが浮気したと言ったとき、ニーナはほとんど驚かなかったが、彼女が何を思っているのか見当もつかなかった。

ニーナにできるのは聞き手に回って慰めてあげることだけだったが、 ひとまず何か食べたいかどうか尋ねることにした。

ミシェルの顔は涙でびしょびしょだった。しかし、食べ物について聞かれると悩みは全部どこかに飛んで行ってしまった。 そしてニーナの手を握ると、二人はスナック街に向かった。

ミシェルは易々と丸め込まれ、気分をコロコロ変えてしまうのだ。 じきに、毎日ニーナのもとにやってきてはあらゆる種類のおいしい食べ物を食べに連れて行くようになり、ジェームズのことなどすっかり忘れてしまったようだった。