彼が葉巻をはじくと、火の粉がぱっと明るく燃え上がった。 ジョンの前では誰も勝手に行き来などできないのだ。

ニーナは怒りに震えて立ち止まった。
「あのね、私たちの仕事はお金が全てじゃないの。 特に今回は、大きな危険が伴っているわけ。 こんな密室、うまくやらないと人が死ぬのよ。 もう行かなくちゃ」

人が死ぬって?

ジョンは無意識に股ぐりを一瞥した。 俺はそんなにひどい男か?

そのとき、彼の反応を理解してニーナは目を見開いた。

この男は彼女の仕事を誤解しているのだ……

ニーナの頬は紅潮した。

「恥知らず!」
彼女は男を指差しながら、 怒りにまかせてそう言ったが、ジョンは顔色一つ変えなかった。 彼がその夜の雇い主だというのに、そんな言い方があるだろうか?