ニーナが見えなくなるとイザベラは笑顔を作るのをやめた。そのとき彼女は本当にいきいきしていた。 しばらくして、イザベラは今度こそうまくやったことに気づき、大笑いした。

ニーナは、教室に座るとすぐに携帯電話で通知を受け取った。

通知音が鳴った。

彼女の銀行口座に10万円送金されたことを知らせているのだ。

ニーナが状況を理解する前にイザベラが電話をかけてくる。

「ニーナ、まずいよ! 今すぐ大学のフォーラムを見て! まずいことになってる」

ニーナはキャンパス・フォーラムを開き、トップの投稿を見た。 とても目を引くタイトルなのだ。

「なんと! キャンパスの女王ニーナ・ルーに売春発覚!」

投稿には2枚の写真がつけられていた。 ひとつ目は、ニーナがよれよれの服を着てフォーシーズンズ・ガーデンホテルから出てくるところを写したものだ。

もうひとつは、彼女の口座に送金された10万円だ。

一体何が起きているのか?

この投稿は、ほんの数分で一万回もシェアされてしまった。

クラスメートの大半がそれを見てしまったことは明らかだった。 彼らはほぼ全員、ニーナに嫌悪の眼差しを向けていた。 女の子たちは彼女を侮辱し、軽薄に口笛を吹いてよこす男までいる。

それまでニーナはいつも高飛車で、みんな彼女とすれ違うのさえ憚っていた。 そして、キャンパス中の男の子たちから女神の座に担ぎ上げられていたと言ってもいい。

大半の男子学生は気圧されて彼女と話す勇気さえなかった。 それが今や口笛を吹いてよこすだけではなく、当然のようにちょっかいを出してくるのだ。