「ニーナ、違うの! 別に何か企んでいたわけじゃないわ。 ただ、いい匂いだなと思ったからあなたにあげただけよ。 私があなたを酷い目に遭わせようなんて思うはずないじゃない! 私たち仲良しじゃないの」
涙がイザベラの目に溢れた。

イザベラはニーナをよく知っていた。 ニーナは自分の美しさをわかっていて、いつも鼻にかけている。 だから、女の子たちに嫌われているのだ。

イザベラは、まさにそのせいで、彼女がニーナの唯一の友人であることを知っていたのだ。 ニーナは大事な友達を失うわけにはいかないので、何もできなくなってしまった。

その上、イザベラが金曜日の夜の出来事と関係があるという証拠はない。

イザベラは考えながら内心ほっとしつつあった。 そして、涙をぬぐいながら「ニーナ、よく考えてよ。 本当にわざとだったら、そんな香水あげるわけないと思わない? 私が不利になるんだから。 ニーナ、信じてよ。 そんなこと友達には絶対やらない」と言った。

確かに理にかなっている。

イザベラが本当にこそこそ企んでいたのなら、証拠は隠滅すべきなのだから。

ニーナの表情が和らいだ。 何はともあれ、二人は親友なのだ。

ニーナはイザベラに腹を立て続けることができなかった。

「まあ、結局大丈夫だったし」
ニーナが落ち着いた様子で締めくくった。

それを聞いたイザベラはようやく息をつくことができて、 安堵するようになった。

けれども、ニーナの身に何も起こらなかったのを知ってムッとしていた。

彼女を陥れる次の計画はもっと念を入れなければいけない。

二人はしばらく談笑していたが、それぞれの教室に向かうために別れた。