ジョンの態度はかなり失礼だったので、サムは「おまえが妻を見つけられないんじゃないかと心配していたので、お手伝いしたのさ」と答えた。

親父は誰も俺を愛してくれないと思っているのか?

馬鹿にしているのか? ジョンはイライラ考えた。

名門シー家出身、しかもタイム・グループのCEO。 セレブの中、有名で、結婚するのに最もふさわしい男、それがジョンだ。

ほんの数日前も、ある女性がもの欲しそうに彼を追いかけ回していた。

誰も欲しがらないわけがないじゃないか?

笑わせるな!

「俺はいますぐ離婚する」 ジョンは強制された結婚などする気はなかった。

自分がふさわしいと思った女性としか結婚などしない。 少なくとも、美人でなければだめだ。例えば、この前自分の車に轢きかけるところだったあの子でも良さそうだ。

サムは血をたぎらせ、 声を荒げた。
「馬鹿を言うな!」

ジョンはめったに父親の話を聞こうとしなかった。

そして、今回もそのつもりはなかった。

ジョンは帰国して以来、久しぶり父親と会って、もう争いに明け暮れていて、 二人の関係には大きな亀裂が入るのだろう。

一方、そばに立って見守っていたジェイクは、ここ数日の出来事について考え込んでいた。 ジョンはまだ帰国したばかりだと言うのに、すでにサムをこれまでになくイラつかせている。

ジェイクは振り返って写真を取り出し、 ジョンに手渡してこの状況を打開しようと試みた。
「若様、決断される前に奥様にお会いされてはいかがでしょう?」

ジェイクは、夫婦が共に時間を過ごせばお互い少しずつ恋に落ちるだろうと信じていた。

しかも、若いニーナはとても美しく、人としてカリスマがあった。

男なら誰もが夢中になるだろうしジョンだって例外ではないはずだ。

L大学にはニーナのファンがたくさんいるらしいではないか。