ニーナがミシェルの指差す方を振り返ると、ジョンの存在感のある背中が目に入る。 その時、彼はシーフードレストランの入り口に向かって歩いていた。

何であの男がいるのだ? 本当にただの偶然だろうか?

しかしよく考えると、そのシーフードレストランはシー家が経営しているとミシェルが言っていたではないか。 ならば、ジョンが居たって不思議ではない。

なるべくうまく彼を回避しておけば、何の問題もないだろう。

一方、運転席のジェームズは、ニーナがジョンに向ける眼差に思慕の情を見てとるとワクワクしていた。

ニーナもジョンのことが好きなのだ!

ニーナの脇に座っていたミシェルは彼女の腕を掴んで揺らすと、唇を尖らせて「おじさんに挨拶しないの?」と尋ねた。

しかし、ニーナは絶句してしまった。 ミシェルがこんなに間抜けで騙されやすいのをまたしても目の当たりにして信じられないのだ。

ここで一度、事をはっきりさせておくためにも、ニーナはきっぱり説明しなくてはならなかった。 「ミシェル、何度も言っているけど、 ジョンは私の叔父さんじゃないってば。 彼とは何の関係もないの」

「えっ?」 ミシェルは混乱して頭をさする。 どうやらまだ、ニーナが何を言おうとしているのか理解できていないようだ。

「何アホみたいな事言っているんだ? ジョンは俺の叔父さんだよ。 俺がジョンの甥なの!」 ジェームズがかっとして大声をあげる。

ジョンは将来ニーナの夫になるはずなのだ。 叔父なわけがあるまい。

ミシェルは、ジェームズがジョンの甥であることを知ってまたぞろ驚いた。