ニーナは何も言わなかったが、 ようやく我に返って、携帯電話を放りだそうとしていた。

ジェームズが彼女をからかうなんて百年早い!

ジョンはすぐに自分の携帯電話と取り返したが、 すでに怒りはおさまっており、代わりに独善的な笑顔が顔全体に広がっていた。

この青二才は実際、間違っていないのだ。

「おい、投げるなよ。 そんなことしても仕方ないだろ」ジョンはニーナを見つめながら、さりげなく電話を片付けた。

ジェームズはようやく息をつくことができた。 どうやらジョンはもう落ち着いているようだ。

幸い、今日はついている。 然もなくば、ジェームズは明日を迎えられなかっただろう!

ジョンは彼の人生を簡単に滅茶滅茶にすることだってできたのだから。

いずれにせよ、彼は今すぐにでもそこから立ち去る必要があった。

「ジョンおじさん、ニーナおばさん、ゆっくり楽しんでください。 俺はやることがあるのでもう行きます」ジェームズは逃げ出すチャンスを掴み、急いでずらかろうとしていた。

「どういうこと、ジェームズ?」 ニーナはもうパニックで、ジェームズと一緒に立ち去りたかった。

これ以上ジョンと一緒にいたくなどないのだ。

しかも、すでに携帯電話はチェックして、ビデオがないことも確かめていた。 つまり、もう用はないわけだ。

「ええと、おじさん、私も帰った方が良さそうね。 またね。あ、もう二度と会うことがないといいわね」照れたような笑顔でニーナは振り返り、逃げ出そうとしていた。

そんなあっさり立ち去るつもりなのだろうか?

ジョンは長い腕を振り上げてを彼女を掴むとそっと肩に担いだ。 こんな事は公共の場では受け入れ難いのだが、気づいていないようだ。