「なんで制服だったんですか」


それは試すつもりでもなんでもなく純粋な疑問だった。


「ん?なにが」
「いや、火事の時に貴重品はわかりますけど制服も持ち出せって言ってたのが気になって」
「ああ~!」


少々古臭い仕草で手を叩いて笑うこの人はお人好しなんだと思う。じゃないと普通はたとえ一晩の恩義があったとしても赤の他人に同居なんて持ち掛けない。もし例外があるとすればいつもの(・・・・)やつ。


「ほら、制服って高いじゃん?それに新しいの買います!っていって簡単に買えるもんでもないでしょ。モモちゃんが節約頑張ってた話は聞いてたし、見たしね。あとはそうだなあ。思い出は大切にして欲しいって感じかな。三年目でしょ?愛着湧いてない?」


俺に関わろうとする人間はろくでもない奴ばかりだった。でも、だからこそ。この答えが裏表のないストレートな言葉に聞こえて。また騙されるかもしれないのに。裏切られるかもしれないのに。信用してみようって。信用できるって。何故だかそう思ってしまった。



  HONEY BUNNY P!NK 03
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