「今日ので分かっただろ? 別に羽花のクラスは羽花のことを避けてるわけじゃないってこと。むしろ羽花がボッチを望んでると思ってたから話かけなかったんじゃあねぇの? 俺はずっと見てきてそう感じてたけどな」


「ずっと……ですか?」


 ずっととは、いつからでしょうか?


「っつ、まぁよかったな! これで高校二年の文化祭楽しめるな」


「本当に雷斗くんのお陰です。やっぱり皆と一緒にわいわいできるって楽しいですね! こうしてクラスに馴染めたのは久しぶりです。雷斗くん、勇気をくれてありがとうございました」


 深々と頭を下げる。感謝してもしきれないくらいだ。


「別に俺は何もしてないだろ。羽花が自分の中に隠れてた勇気を振り絞ったからだよ、よかったな」


 顔を上げると漆黒の瞳は細まり優しい顔、ゆっくりと伸びてきた左手は私の頭を捉えて引き寄せられる。


 ポスンと雷斗くんの胸の中に収まってしまった私の身体を抱きしめて耳元に穏やかだだけどちょっとゾクリとする声を流し込まれた。


「クラスの皆と一緒にいるのが楽しすぎて俺の事忘れるとか、そーゆーのは無しだからな」


 ――なんでだろう、すごく嬉しい。 


 ドキドキしすぎて胸がはち切れそうだ。この場に立っているのも辛いくらい息をするのが苦しい。