雷斗くんは私の姿に気がついたらしく「羽花っ!!!」と大きな声で私を呼び、駆け寄ってくる。


「ら、雷斗くん? どうかしましたか?」


 顔色が悪い。まさか体調が悪いのでしょうか!?


「雷斗くんごめんなさいっ、体調が悪かったのです、か……え……雷斗くん?」


 人目を気にする素振りもなくスラリとした身長の長い腕にギュウッと抱きしめられる。今までにないくらい強くしっかりと私の存在を確かめるような、きつい抱擁。


「……心配した。なかなか帰ってこねぇし、電話もでねぇし、事故にでもあったんじゃないかって」


 まさか心配をしてくれていたなんて思いもよらなかった。なんだろう、胸の奥がジワジワと熱くなり心臓がギュッと誰かに握りしめられているように苦しい。今、物凄く自分の手を雷斗くんに回し抱きつきたい……


「雷斗くん……」


 でも……私なんかがおこがましいよね……


 動きかけた手を引っ込めた。


「雷斗くん、心配かけてしまってすいませんでした。スーパーに行ってたんです。多分それで電話にも気づかなかったのかと」


 ゆっくりと離れていく身体。雷斗くんの表情が見え……ひぃっ、物凄く怒ってる!?