真っ暗な夜道、しばらくは街灯や一軒家から溢れ出す明かりと自転車のライトを頼りにペダルを漕ぐ。だんだんと明かりが増えて世界が変わったかのように街は明るくなり自転車のライトなんてちっぽけな光になってしまう。


「まだ三日しか経ってないんだよね……」


 雷斗くんに怪我をさせてしまい一緒に住むことになってから三日。三日しか経っていないはずなのに私の世界はぐるっと豹変した。


 バイト終わりにスーパーに寄っていつもなら七人分の食材を自転車のカゴにパンパンにつめていたのに今日は二人分だからか随分軽くて物足りないような気がしてしまう。でも何故か家族に会っていなくて寂しいという感情がまだ湧いてくることはなく、雷斗くんと一緒に居ると楽しかったり、ドキドキしすぎて苦しかったり、学校での騒ぎで落ち込んだりと今は感情の大渋滞中だからかもしれない。


(本当雷斗くんと一緒にいるとドキドキが大変なことになるんですよね……んん? あれって雷斗くんでしょうか?)


 マンションの入り口前でキョロキョロしている雷斗くんらしき人物が見える。だんだん近づいていく途中でハッキリと雷斗くんだと分かった。


(何をしているんでしょうか?)