(なーんて素直に言えたら楽なんだけどな)


 今年の文化祭はクラスの人達と打ち解けて羽花も参加出来るといいな、なんて思って文化祭の話を持ち出したみたいだけど羽花は全く参加する様子が無かった。本当は参加したいんだろうけど多分自分に対しての評価が低すぎるのと、イジメに会った過去があるあら関わるのが苦手なんだろうな……小学生に戻って羽花をイジメやつをぶん殴ってやりてぇな。


「なんとかしてやりたいけど、こればっかりは本人が頑張らないとなぁ〜」


「なんの話〜?」


 目の前にグワっと子犬のような可愛い顔が飛び出してきた。


「凰太(こうた)、急に視界に入ってくるんじゃないよ」


 茶髪の人懐っこい犬のような見た目と性格の凰太が興味津々な表情を俺に向けてくる。


「羽花ちんと一緒にお昼食べてるみたいだったから邪魔しちゃ悪いと思って生徒会室に誰も入ってなかったんだぜ? あのクールで女なんて興味ないって感じだった雷斗に彼女が出来て俺らは喜んでるわけよ。なんなら羽花ちん呼んで盛大にパーティーしたいなって生徒会の皆んなで話してたくらいだぜ?」


「……凰太」


「ん〜?」


「気安く羽花ちんとか名前で呼ぶんじゃない」


「うっわ、独占欲つっよ! 雷斗の方が羽花ちんにベタ惚れって感じだもんな」


 やっぱり俺って顔に出やすいのか? 凰太にもバレバレなくらい俺だけが羽花に惚れてて、羽花は俺の事自分が怪我させちゃった人、くらいにしか思ってないのかもな……


 そう思うとはぁ、と深い溜息が溢れ出た。