自分がまだ高校一年の時、毎日昼休みの時間に花に水をあげにくる綺麗な黒髪の女の子、それが羽花だった。


 昼ごはんを食べてからくるのかはわからないが昼休みが終わる十五分前になるとふと現れて優しい表情で花に水をあげている羽花。嬉しそうに花に笑いかけている羽花。その笑顔がキラキラと眩しくて胸が高鳴った。その姿を俺はこの生徒会室の窓際から見ているのをバレないようにそっと眺めるのがいつの間にか日課のようになっていた。


(俺が羽花のことを高一のときから知ってるなんて思いもしてないだろうな)


 クラスは違うし、廊下ですれ違う時も友達がいないのかいつも一人でいる羽花。女子ってのは群れで行動するような生き物だと思っていたからか、なおさらいつも一人でいる羽花が気になってしょうがなかった。


 内申点を上げるために優等生のふりをして一年の時から入った生徒会。だんだんと俺の目的は内申点を上げる為ではなく羽花の姿が見れる生徒会になっていた。


 もうこの時点で俺は話したこともない女の子に恋をしてしまったんだと気づいた。