どのくらい雷斗くに抱きしめられて泣いていたんだろう。


「あの、取り乱しちゃってすいませんでした。もう大丈夫です」


 そっと雷斗くんの胸を押し身体を離した。
「ん。じゃあ弁当食べようぜ、朝から羽花の作った弁当楽しみにしてたんだからな」


 ニカッと白い歯をのぞかせ嬉しそうにお弁当をあける雷斗くんをみて少し元気が出た。自分の作ったお弁当をこんなにも楽しみにしてくれてたんだ……


 気分を切り直してお弁当を食べる事にした。


「羽花。今日の放課後は? もしかしてバイトか?」


 もぐもぐと塩おにぎりを頬張る雷斗くん。


「はい、今日もバイトです。というより基本週六でバイトなんで」


「はあ!? 週六!? お前働きすぎだろ!?」


「でも働かないとお金もらえないし、学費くらいは自分で出したいんです。だから今日も帰りは遅くなります。夜ご飯は冷蔵庫に用意してきましたから先に食べちゃってていいですからね」


「あぁ、ありがとうな。でもあんまり無理すんなよ?」


「大丈夫ですよ。身体だけは丈夫なんで! 私食べ終わったんで先に戻っててもいいですか?」


 お弁当を包み直しながら早めにこの場を去ろうと考える。またあーんしてなんて言われたら……


「ああ、いいよ。俺はすこしここでやることあるから、じゃあまた家でな。バイト頑張れよ」


「ありがとうございます。じゃあまた」