「はは、泣きすぎてすげぇ顔になってるぞ。ほら」


「ひゃあっ」


 彼の笑った顔がキラキラ光って眩しい。私に伸びてきた手は流れ落ちる涙を優しく拭ってくれた。


「泣き止め、俺はもう大丈夫だから、な?」


 私の顔を覗き込む彼は、夜なのに太陽のような優しい笑顔をしていた。


「うぅっ、本当にごめんなさい、びょ、病院は? 行ったほうがいいですっ!」


「ん、これくらいいつもの事だから平気」


 こんなバイクの部品が割れるような転び方がいつものこと!? い、命が何個あってもこんなんじゃ足りません……


 大丈夫と言われても罪悪感と彼のことが心配で「はい、じゃあお大事に」なんてこの場を離れるなんて出来ない。


「私に出来ることがあれば何でもするので何でも言ってくださいっ」


「なんでも?」


「はいっ、なんでもします!」


「ふ〜ん、じゃあ明日ココに夕方の五時に来てくれるか?」


 差し出されたスマートフォンに記載された住所らしきメモ。ここに行けばいいのかな?


「分かりました! 明日必ず行きますね」


 私は自分のスマートフォンを取り出しメモを写真に撮った。