国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜

(はぁ、ハンバーグの味なんて分かんなかったよぉ)


 ジャーっと水を出し使った食器を洗う。緊張とドキドキで火照った身体に水が冷たくて気持ちがいい。


「皿まで洗わせちゃってわりぃな」


「ひゃあっ!」


 後ろから突然声をかけられ驚いてツルッと皿を落としそうになった。


「だ、大丈夫ですよ。こうして家事をやるために私はここに来たんですから」


「そう言えばそうだったよな、サンキュウ」
「いえ、これが私の勤めです!」


「じゃあ俺は風呂の準備しておくから、な?」


 上機嫌で雷斗くんはお風呂場に向かった。そんなにお風呂が大好きなんだなぁ。


 私はまったく雷斗くんのことを知らない。


 昨日の今日で彼のお世話係として一緒に住むことになったけど知っているのはおなじ高校なこと、多分お金持ち、ハンバーが好きなこと、お風呂が好きなこと、そのくらいしか知らない。知らないけど多分雷斗くんは優しい。意地悪なところもあるけど怪我をしていないほうの腕で荷物を持ってくれた。作ったハンバーグを美味しいと言って食べてくれた、なにより自分がバイクで転んで痛いはずなのに私のことを心配してくれ、泣いてる私を落ち着かせてくれた。 


 雷斗くんは優しい人だ。


 初めて会った時から普通に話せた不思議な男の子。