「お母さん」


　雷斗くんの真剣でまっすぐな声。


「安心してください。俺が全力で羽花を守ります。羽花が実家に帰る時は喧嘩じゃなくて家族に会いに遊びに行くときです。俺はこの繋いだ手を一生離さないとお母さんに約束します」


　力強く宣言しながら私の手をふんわりと握り自分の身体に引き寄せた。お母さんの前なのに恥ずかしという気持よりも嬉しい気持ちが勝ち、そっと私もからも寄り添った。


「よく言ったわ、さすが雷斗くんね。今まで散々私達親のせいでたくさん我慢してきた子なの。親のわたしよりもきっと貴方になら羽花も甘えられるはず。羽花のこと、よろしくお願いします。でも月に一回くらいは帰ってきてほしいな」


「あ、あ、たりまえだよお母さんっ」


　お母さんがこんなにも私達のことを思ってくれているなんて知らなかった。やっとひいた涙がまた勢いよく流れ出す。もう今日は蛇口が壊れたまま直らない日らしい。