「んじゃあ、そろそろ飯にするか」


 ホワイトの壁に掛かっている時計を確認すると時刻はすでに夜の八時を回っていた。


 雷斗くんの家に訪れて三時間、たった三時間なのに私の人生大変な方向に向かっている気がする。


 でも自分のせいで雷斗くんが怪我してしまったんだから、精一杯お世話しないとです!


「そ、っそうですね! 私なにか作ります。キッチンお借りしてもいいですか?」


「いいけど」


「じゃあちょっと冷蔵庫拝借させていただきます。……雷斗くんこれは……?」


 冷蔵庫を開けるとミネラルウォーターと栄養補助食品のゼリーがズラッと並んでいるだけ。調味料でさえなにもない。


「ら、雷斗くん、これはいったい……今まで何を食べて生きてきたんですか?」


「俺? 昼は購買でパン買ったり、夜はカップラーメン食べたりだな」


「あ、朝は……?」


「朝? 朝は水飲んで終わりだな」


 なんてこった。こんな食生活しているなんて……弟妹の世話をよくしているせいか母性本能が発動する。せっかく一緒に住んでお世話するんだから、こうなったらきっちり栄養管理させていただきますっ!


「スーパーへ行きましょう!」


「ええ、いいよ、面倒くさいし」


「いえ、私が雷斗くんのお世話かかりですから、ちゃんとこれからはご飯食べてもらいますよ!」


「羽花、母親みてぇだな」


「なっ、ほら行きましょう!」


 半ばむりやりマンションから連れ出し近くのスーパーに案内してもらった。