「どうだ? 羽花が気に入ったやつなんかあった?」


「どれも素敵すぎて、迷います」


「じゃあ最後の一着、俺はコレが羽花に凄く似合うと思うけど、試着してみたら?」


 雷斗くんはスタッフの人を呼び私は流されるままに試着室に入った。


「こちらのドレスはジュエルネックなので首元が開いていてパールのネックレスなどをつけるととても映えて綺麗なんですよ。お客様は若くて肌が綺麗ですからとてもよく似合います」


「あ、ありがとうございます」


 お世辞とは分かっていても褒められて少し嬉しくなる。


 ドレスを着て鏡に写る自分は別人のようだった。さっきまでドレスを身体に当ててもなんだかしつくりこなかったのに、このドレスはサイズ感もぴったりで地味すぎず、派手過ぎず、ふんわりとしたスカートにレースがとても綺麗。


「わぁ……可愛い……」


 って、自分が可愛いんじゃなくて、ドレスが可愛いんですっ!


「じゃあ一ノ瀬様にもお見せいたしましょうね」


 試着室から出て雷斗くんの元へ戻ると、目を大きく見開いて驚いた表情を向けてきた。


(そりゃ驚きますよね……に、似合わなかったのでしょうか……)


「あ、あの似合わないすよねっ、こんな素敵なドレス。やっぱり私は制服じゃ駄目ですかね? ――へ?」