二日目、きらびやかな店内、艶々の床は大理石柄で、勢いよく走ったらツルツルで転んでしまいそうなほど綺麗だ。壁一面にずらりと並ぶドレスの数々は明るい照明に照らされて神々しく輝いている。


(あれ、私って結婚するんでっしたっけ?)


 そう思ってしまうほどの量のドレスに腰が引ける。正直言って自分の貯金だけでこんなに素敵なドレスが買えるのか不安になってきた。


「一ノ瀬様、言われましたとおりのサイズのドレスを揃えました」


「ああ、助かった。ドレスは彼女と決めさせてもらうよ」


「はい、かしこまりました。なにかありましたらなんなりとお申し付けください」


 スゥッと去っていくスタッフを横目に雷斗くんは沢山のドレスを端から順に見始めた。


「このふんわりしたドレスも羽花に似合いそうだな。ん〜でもこっちのピンクも捨て難い、羽花もこっちに来な。自分で見て気に入ったやつを選べよ」


「わ、私はなんでも良いのですが……」


 むしろ安い物でお願いします、とは恥ずかしく言えない。


「羽花はハッキリした色よりも淡くて優しい色味の方が似合うだろうな。コレとかいいんじゃないか?」


 雷斗くんに言われるがままに色んなドレスを身体に当て、鏡を見る。なんだかドレスが素敵すぎて自分が鏡に写っているのが申し訳なくなってきた。