どうしましょう。さっきとはまた別の動きで心臓がバクバクしている。


「っつ……住んでるよ。別に隠していることじゃないからな。俺が怪我してたから彼女がサポートしてくれてたんだよ」


「怪我? そんなこと私は何も聞いていないが」


「言ったって、言わなくたって別に何も変わらないだろうがよ。もういいだろ、帰ってくれよ」


 雷斗くんとお父さんはもしかして仲が悪いんでしょうか……


「まだ要件は済んでいない。彼女というのはそこでプルプルと子羊のように震えている子かな?」


 ――バレていました。


「あ、あの、私中条羽花と申しますっ、あの、そのっ」


 お父さんからの視線は今まで感じた誰よりも鋭くて怖い視線。緊張と恐怖で身体の震えが止まらない。


(なにか、なにか話さなきゃいけないのにっ……)

 ギュッと目をつむり、なんとか身体の震えが止まるように両手を握りしめて力を入れる。

 私の震える身体はふわりと大きくて優しい温もりに抱き寄せられた。