「ほら、ぼーっとしてないで早く行くぞ」


 雷斗くんは軽々と左腕で私の荷物を肩からかけて私を待っている。


「わわっ、自分で荷物持ちますから〜怪我が悪化しますよ!」


 慌てて駆け寄り「返してください」といっても返してくれない。


「怪我が悪化したら羽花が面倒みてくれるんだろ?」


「何言ってるんですか! それはダメです! きちんと治さないと」


「はいはい、荷物は左で持ってるから大丈夫だから。先に行っちまうぞ」


「あぁ、待ってくださいよ〜」


 二人で並び長い長いエレベーターが登っていく。隣に立つ雷斗くんの横顔は彫刻のように高い鼻とシュッとした輪郭、天使の輪ができそうな艶めいた黒髪、本当に国宝級美男子だ。


「なあにそんなに俺の顔見てるの?」


 ば、バレてたーーーー!!!


「み、見てないですよ! かっこいいなぁなんて見てないです!」


「ふーん、かっこいいなぁって見てたんだ、俺のこと」


「あ、やっ、そのッ」


 恥ずかしくて身体の温度が急上昇する。熱くて熱くて汗が吹き出しそうだ。


「ははっ、照れちゃって可愛いな。本当羽花の事からかうのが楽しくなっちゃうわ」


「か、からかったんですねーーー! もうっ!!!」


「はいはい、ほら、着いたから降りるぞ」


 二人でエレベーターを降りてまた501号室に戻ってきた。