「じゃあ羽花、荷物まとめたら俺の家に戻るぞ。お母さんこれうちの住所と俺の連絡先です」


「あらあら。ご丁寧にありがとう。本当に雷斗くんごめんなさいね。羽花の事こき使ってくれていいからね」


 お、おかあさ〜ん。なんてこと言うのよ〜


 一通りの挨拶が終わるとお母さんは未だに固まっている父親を引きずるように家に入っていた。


「両親の了承も得たことだし早く荷物まとめてきな」


 聞きたいことも山ほどあるけれど仕方なく最低限の荷物を小学生のころに買ってもらったボストンバックに詰め込んだ。


 来た道をまた戻っていくタクシー。トランクには私の荷物が乗せられている。


「あの、雷斗くんは私と同じ高校なんですか?」


「そうだよ、ちなみに二年だから学年も一緒だからな」


 し、知らなかった。私が高校の制服だから気づいたのかな? リボンの色が学年のよって違う。二年生は赤色のリボンだ。だから気づいたのだろう、じゃなければこんな地味で目立たない教室でもボッチの私を知っているはずがない。


「まぁ羽花は俺の事知らなかったみたいだけどな」


「ご、ごめんなさい。私あんまり交友関係広くないんです」


「そおっぽいな、ほら着いたから降りるぞ」


 クレジットカードでサラッと雷斗くんが料金を支払ってしまい今どきのタクシーは現金じゃなくても払えるのだと初めて知った。慌てておりてトランクの荷物を……な、い?