国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜

「羽花」


 力強く呼ばれ背筋がピンと伸びる。


「は、はいぃぃぃぃ」


「いつもの所ってどこ?」


 顔は笑っているけど眼鏡の奥の瞳は微笑もいていない。真っ直ぐに私を捉えている。


「あんまり人の来ない階段があるんです。学校で会う時はいつもそこで会ってたんです」


「ふーん。じゃあ俺も文化祭終わったら一緒についていくから」


「へ? っどこにですか?」


「この鈍感女。とにかく、俺も一緒に翔ちゃんとかいうやつのとこに一緒に行くからな」


 コチンと額と額を合わせられた。手のひらではない肌と肌の触れ合いに、至近距離すぎてくらくらする。「はい」と返事するのが精一杯だった。


「あと、接客するときは気をつけろよ。いっとくけどいつも可愛いけど今日の羽花は更に可愛いんだから、変な男に話しかけられても無視すること。分かったな?」


 可愛いの連呼にプシューっと頭がパンクしそう。これは惚れ直してもらえたということでしょうか? 女子の皆さんのお陰です!


 嬉しくてにやけてしまいそうになる口をキュッと力を入れて耐えた。


「はい……じゃあ戻りますね」


「ああ、文化祭終わったら迎えに来るから待ってろよ」


「はいです」


 離れたはずの額が燃えるようにまだ熱い。


 ヒラヒラと手を振りながら行ってしまう雷斗くんの背中が見えなくなるまで見届けてから教室に入った。