「羽花」


 名前を呼ばれただけなのに……なんだかとても嬉しい。


「俺はさ、羽花の事ずっと可愛くて、何事にも一生懸命でいい子だなって思ってた。最近はクラスでも文化祭の準備頑張ってて本当羽花が凄いキラキラ輝いてた」


 何か言いたいのに言葉が出てこない。


「ずっと一年の時から羽花のことが好きだった」
 

 ……え? 聞き間違いじゃないですよね?


「羽花の側にいたくて怪我したことを利用して羽花を俺の側から離れられないようにした。学校でも他の男に取られないように俺の彼女だって嘘ついて言いふらした。誰にも羽花を取られたくなくて……でも羽花には辛い思いさせちまって、それは凄い反省してる」


 雷斗くんの口から次から次へと出てくる彼の行動からの思いに身体の底からマグマが湧き上がってくるかのように熱く、目には涙が溜まり始めた。


 身体がすこし離れ、雷斗くんの顔が涙ですこしぼやけるがよく見える。漆黒の瞳は私をしっかりと見つめ一ミリもずれない。
 息をすることも忘れるくらいその瞳に吸い込まれてしまった。