むせかえるような絵の具の匂い、教室の真ん中には大きな看板や、外に置くメニュー表。その向かい側からはカタカタとミシンの規則的な音が聞こえてくる。


 文化祭の準備がはじまって、そして私が自分の気持に気づいてから、雷斗くんの事を好きだと実感してから一週間が経っていた。


 好きだと実感した途端、雷斗くんとはすれ違い生活になってしまっている。雷斗くんも生徒会の仕事がかなり忙しいらしい。


 もっと一緒にいたいな……


 私が雷斗くんを好き、と意識した途端恥ずかしくてちゃんと顔を見ることができなくて、今までも国宝級にかっこよかったけど、今はキラキラ光るフィルターがさらに分厚くかかり、眩しくて直視できないくらい雷斗くんがかっこよく見えてしまう。


 でもそれと同時に少し悲しくなる。怪我が治ったらもう雷斗くんとの接点はなくなってしまうんだろうな……